2019国際食品工業展

7月9日(火)-7月12日(金) 東京ビッグサイト・東1-8ホール 10:00-17:00

研究概要

古くて新しい溶液成分測定法の開発
―ビックデータ解析によるマルチインピーダンス計測の可能性―

研究機関名

鹿児島大学 農学部 食料生命科学科 食料環境システム学研究室

代表者

紙谷 喜則

本研究の主旨

インピーダンス法は古くよりcole-coleプロットなどにより溶液の評価などを行っている。食品分野では、野菜の鮮度評価などに利用されている。我々は、低周波数帯を用いたインピーダンス特性からデータ処理により溶液内のイオン種の定性と定量を行うことにチャレンジし、植物工場養液成分(NPK)の定量できる可能性を示した。本方法は、濃度とイオン種のデータを多数蓄積し、多変量解析などによりそれらの濃度を推定するものである。更なる精度の向上を目指すためにビックデータを活用した、周波数―濃度特性値を機械学習させた中からイオン濃度を推定する方法も検討中である。この古くて新しい方法を用いて、現在食品産業で使用されている次亜塩素酸ナトリウムの殺菌、洗浄工程の濃度管理およびモニターに使用できないか検討したので報告する。次亜塩素酸ナトリウムは殺菌剤として広く使用されているが、使用回数が増える度に有機物により有効塩素濃度(ACC)が低下(消失)するため、殺菌が不十分になると可能性を含んでいる。また、新たに次亜塩素酸ナトリウムを添加することによりpHが塩基性となり酸性域で存在率が高くなる次亜塩素酸の濃度が低下することで、さらに殺菌効果が薄れる可能性がある。そのため、食品産業者では定期的に排水して新たに次亜塩素酸ナトリウム溶液を調整している。次亜塩素酸ナトリウム溶液の浸漬槽の管理は、pH計を用いて塩基性を連続でモニタリングしているが、ACCはバッチ式、比色により手技による測定を行い記録している。本研究では、殺菌槽の管理に必要な、pHだけでなく次亜塩素酸ナトリウムの濃度測定を迅速かつ連続的に測定できる方法の開発を目指し新しい計測法としてマルチインピーダンス法を用いて次亜塩素酸ナトリウム濃度及びpH管理ができるか検討した。その結果、次亜塩素酸ナトリウム溶液ACC:10~1090mg/L、pH8.2~10.0に純水を用いて希釈した場合、有効塩素濃度は周波数(2~2kHz)で決定係数R2 0.85、SEP 128.7、pHではR2 0.97、SEP 0.042となり、pHとACCを定量可能であることが示唆された。本装置を用いた測定時間は10~60秒程度であり、微生物の危害を除去するための殺菌工程における重要管理点でのクリティカルリミット(CL)のモニタリングとして連続測定が可能となり、HACCPでの殺菌工程の確からしさを記録することが可能になることが示唆された。

All Right Reserved. Copyright (c) Secretariat of FOOMA JAPAN