2018国際食品工業展

6月12日(火)~6月15日(金) 東京ビッグサイト・東1~8ホール 10:00~17:00

FOOMA JAPAN 2019 資料請求

研究概要

新規パン酵母による冷凍パン生地の品質向上

研究機関名

北見工業大学 大学院 バイオ環境化学専攻 バイオプロセス工学研究室

代表者

小西正朗

本研究の主旨

当研究室は冷凍生地パンの性能を保持できる新しい酵母を提供し、パンや発酵食品の冷凍保存技術への活用方法へ展開できる可能性を有している。
パン業界では作業の軽減化などの目的で、工場でパン生地を作製・発酵・成型し、冷凍後、店舗などで解凍・発酵・焼成する冷凍生地製パン法が用いられている。しかし、生地の凍結により損傷・死滅した酵母によってパンの風味や食感の低下、発酵不足になることが問題となっている。
我々は環境中から製パンに利用可能な酵母を探索し、凍結耐性が高く発酵性を持つ酵母を選別した。分離したSRT88株は通常のパン酵母の12倍の凍結耐性を示し、系統分類解析により食経験がある醤油酵母Zygosaccharomyces rouxii に属していることがわかった。そこで、SRT88株、既存の凍結耐性酵母(Torulaspora delbrueckii NBRC1129)と市販のドライイーストを用いて、実際に冷凍生地パン製法に準じて操作した。パン生地を作製、1時間の一次発酵後に生地を凍結無、凍結後1から3週間保存した生地を作製し二次発酵の発酵量(1時間の体積変化)を測定した。SRT88株の初期発酵量はドライイーストの1/3程度であった(Fig. 1a)。凍結後の発酵量減少率は、ドライイーストの場合、凍結後1,2,3週間でそれぞれ86.6%,89.8%,100%、NBRC1129の場合は、それぞれ22.7%,35.6%,40.7%であったのに対して、SRT88株の減少率はそれぞれ9.4%,36.9%,36.9%であった(Fig. 1b)。SRT88株は発酵力が低いものの、パン生地中で既存の凍結耐性酵母NBRC1129と同等以上の凍結耐性を示した。また、焼成後のパンから発生するフレーバーをヘッドスペースGC-MS法により比較したところ、ドライイーストと比べて、焼成後のフレーバーの発生量が少ないことがわかった(Table 1)。本菌株は、発酵力が低いものの、凍結パン生地中での生存率が高く、パン酵母臭を出さないことから、素朴な風味の凍結パン生地が提供できる。本研究成果は冷凍技術と組み合わせた新しいパン生地製品の提案など新業態でのパン関連製品の提案に繋がる可能性がある。

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