研究概要

食品の高品質化のための先端加工・特性評価技術の開発

研究機関名

筑波大学 グローバル教育院 ライフイノベーション学位プログラム 食料革新

代表者

中嶋 光敏

本研究の主旨

1.水中短波帯加圧加熱によるソーセージの殺菌
市販のソーセージは、チルド流通で賞味期限が短く、保存性を高めるために亜硝酸ナトリウムなどの食品添加物が添加されている。ソーセージをレトルト加熱滅菌すると、保存性は高くなるが、褐変やゲル強度が低下するなどの品質低下が問題であった。水中短波帯加圧加熱は、短時間で品温を120℃以上の温度に昇温できるため、褐変およびゲル強度の低下を抑えた安全かつ高品質なソーセージを加工することが可能になる。また、食品添加物の添加も不要となる。本研究では、真空包装したソーセージを水中で27MHzの短波帯交流を印加し、短時間でレトルト加熱並みの処理を行う。本殺菌処理は、レトルト加熱で問題となる褐変やゲル強度の低下を抑えた高品質なソーセージが得られた。

  2.ヒト胃消化シミュレーターを利用した変性・凝集状態が異なるタンパク質ゲル粒子の消化性評価
ヒト胃消化シミュレーターでは、ぜん動運動が活発に起きる幽門部が単純化されており、ぜん動運動の定量的な模擬および消化挙動の直接観察が可能である点において、独自性が高いin vitro胃消化試験装置である。本研究グループが開発したヒト胃消化シミュレーターを利用し、タンパク質を含有する固形食品モデルの変性・凝集状態等がin vitro胃消化挙動に及ぼす影響について検討した。本研究の実施により、胃消化挙動はタンパク質(牛血清アルブミン)の変性・凝集状態およびゲル粒子の力学特性の影響を受けることが示された。ヒト胃消化シミュレーターによる食品消化挙動の系統的な評価・解析から集積される知見は、栄養・機能性成分の放出・消化性が制御された新たな固形食品等の開発につながる。

  3.マイクロチャネルを用いた高濃度エマルションの調製
高濃度エマルションは、分散した液滴が密に密集しているエマルションである。マイクロチャネル乳化技術を用いることで70%程度の高濃度エマルションを調製することに成功した。高圧乳化により調製したエマルションと比較して、物理的な安定性、また、それぞれの油相にβカロテンを含有したエマルションを調製し、化学的安定性を調べ、いずれの場合もマイクロチャネル乳化を用いて調製したエマルションが優れた安定性を示した。今後の食品、栄養補助食品、化粧品などへの応用が期待できる。