研究概要

糖と塩とアミノ酸で食中毒菌を撃退!?基本食材による食品有害細菌の制御技術の開発

研究機関名

北海道大学大学院 農学研究院 食品加工工学研究室

代表者

小関 成樹

本研究の主旨

本研究では細菌のストレス応答時の適合溶質の細胞質内への取り込みに注目した。浸透圧ストレスなどを受けた際にカリウムイオン等のイオン性物質の取込みなどに加えて,グリシンベタインやプロリンなどの非イオン性の適合溶質を取り込むことで細胞内の浸透圧やpHなどの恒常性維持に重要な役割を果たしていることが知られている。一方で,正常に適合溶質として動作する物質以外(非適合溶質)の取込みが誤って起きた場合には,代謝阻害を誘導することが報告されている。細菌細胞がストレスに応答して,誤って適合溶質として機能しない非適合溶質を取り込むことによって,代謝阻害を誘導し,結果として増殖を抑制する,との仮説のもとに種々のアミノ酸をはじめとする食品素材の細菌増殖抑制効果を明らかにした。
一方,さまざまな還元糖とアミノ酸の組み合わせ反応から,これまでに報告されていない抗菌活性を有するメラノイジンを探索した。その中で,病原性細菌のListeria monocytogenesに対して極めて高い抗菌活性を有するメラノイジンを発見した。その効果は,現在保存料として用いられているナイシンの常用使用濃度と同程度の活性を示すことを見出した。

図1 生カキ保存へのDトリプトファン添加効果
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図2 Vibrio parahaemolyticus に対するDトリプトファン(○, 0 mM; △, 20 mM; □, 40 mM) の25°Cにおける増殖抑制効果 (a) 食塩3.5%, (b) 食塩4.0%, (c) 食塩4.5%, 食塩(d) 5.0%
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