研究概要

日本の後発酵茶特に徳島県の阿波番茶発酵過程での微生物制御について

  • テーマ

    その他

  • 研究機関名

    東京農業大学 生命科学部 分子微生物学科 複合微生物学研究室

  • 代表者

    内野昌孝

  • 本研究の主旨


    阿波番茶は初夏に茶樹から茶の葉を根こそぎしごきとり、それをお湯で十分煮熟後、揉捻機にて揉捻後に樽に隙間なく詰め、上から石などの重しを載せて2週間前後発酵させる。その過程で乳酸菌が中心となり発酵が進む。発酵後は天日乾燥させ、乾燥後に袋詰めをする。阿波番茶は日本茶の様に最終工程でまるめないため、製品は葉の形をしている。また、風味は緑茶のような青草臭が抑えられ、酸味があるスッキリとした味わいとなる。
    発酵過程で微生物の種類を調べてみると乳酸菌が主体であるが、樽により雑菌がある程度確認できるものと、ほとんど確認できないものに分かれる。教科書的には乳酸菌が生産する乳酸が殺菌効果を持つため、これにより微生物制御がなされているとされるが、研究の結果、茶葉に含まれるエピガロカテキンガレート(カテキンの一種)の抗菌効果が高く、これにより微生物制御がされていることが明らかとなった。乳酸菌の一種である、Lactiplantibacillus plantarumグループはカテキン耐性を持つ菌株がおり、その耐性可能な上限までカテキン濃度を高めると多くの雑菌は生育ができず、結果、品質、衛生面で適切な発酵が進むものと考えられた。
    これを踏まえ、微生物のコントロールを現場で行うにはポリフェノール量(カテキンはポリフェノールの一種)を測定することで調整が可能であり、少なければ茶葉を煮熟した時に出た煮汁でカテキンを補充し、多すぎれば水を加えるという比較的シンプルな系で現場対応ができることが明らかとなった。