研究概要

次亜塩素酸のゴムおよびプラスチックへの透過挙動と殺菌作用

研究機関名

三重大学大学院 生物資源学研究科 海洋微生物学研究室

代表者

福﨑 智司

本研究の主旨

食品に由来する香気成分(揮発性脂肪酸系、芳香族系、エステル系物質etc)や色素は、食品製造設備や機器に使用されているプラスチック製品やゴム製品との相溶性が高く、表面から内部への収着(吸着・吸収)が起こる。従来から使用されてきたアルカリ性の塩素系漂白剤の作用因子は、次亜塩素酸イオン(OCl-)と水酸化物イオン(OH-)であるが、疎水性高分子材料の内部までは作用効果が及ばず、有効な洗浄方法の模索が続けられてきた。
一方、塩素系漂白剤水溶液のpHを機械的に弱酸性に調整すれば、OCl-は非解離型次亜塩素酸(HOCl)となり、微生物細胞の脂質二重層(疎水性膜)への浸透性を示すようになる。この浸透挙動を利用すれば、収着物質の脱色および脱臭に対しても有効であると考えられる。
本研究では、各種プラスチック平板(PET, PE)板に収着した香気成分、色素の分解除去(脱臭、脱色)においてHOClが有効に作用すること、平板内に浸透したHOClが酸化力を保持したまま再移行し抗菌性を示すことを見出した。さらに、HOClはシリコーンゴムを介して液相から液相への透過、そして液相から気相への透過気化を起こすことを明らかにした(溶解-拡散機構)。シリコーンゴム内に浸透したHOClの殺菌作用および気体状HOClの殺菌効果、脱色効果、アレルゲン不活化効果を報告する。