研究概要


近赤外光と偏光による食品の異物検知とその可視化
Detection foreign material in food and its visualization using near-infrared light and polarization

  • テーマ

    特別テーマ カーボンニュートラル

  • 研究機関名

    徳島大学 ポストLEDフォトニクス研究所

  • 代表者

    山口 堅三

  • 本研究の主旨

     
    食品の異物混入は、2014年にカップ麺の中に虫が入っていたことを、写真付きでのインターネット投稿をきっかけに、その後の報告は増加の一途をたどる。現在、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を始めとする多くのメディアを介し、情報が瞬く間に拡散され、ニュースで取り上げられる。食品メーカーにおいては、異物混入が発覚すると、問題の拡大防止や企業イメージの悪化を恐れ、自主回収に動くケースが相次ぎ、その市場への影響は甚大である。現在、金属検出機やX線検査機である異物検査装置の導入により、金属や石などのあるサイズ以上の無機物を検知している。しかしながら、毛髪や虫、密度の低いプラスチックやビニール類などの有機物や、0.3 mm前後サイズの無機物の異物混入事例がその多くとして報告されている。そこで、複数名の検査員の手作業による目視検査で最終確認を行うも、完全な除去には至っていない。  
    本研究では、偏光の概念を導入し、近赤外光と偏光による食品中の異物検知として、近赤外の発光波長を有する発光ダイオード(LED)と、この光を制御が可能な偏光子を用いた検査技術を開発した。また、画像処理を駆使し、本技術で検知した異物を可視化した。  
    図1は、近赤外光と偏光による異物検知の透過光学系と、偏光操作の原理を示す。近赤外光は、食品と水の光吸収の小さい波長を光源とし、これに感度を持つCMOSカメラと2枚の偏光子で試料台を挟む構成とした。光源からの検査光を試料に照射し、試料を透過した光をカメラで受光、撮影した画像データを解析することで検出画像を得た。ここで、検査光が直接入射する第1偏光子の偏光方向を固定し、第2偏光子の偏光を第1に平行と直交に配置し、透過光を制御した。  
    図2は、苺ジャムに混入したビニール手袋片の撮像と検査画像の解析を示す。目視像より、混入した手袋片を確認できない。偏光子を平行配置した透過光像より、果肉や種粒と手袋片の光吸収量の差から透過光量が変化し、手袋片を確認した。ここで、手袋片のみを異物として判別することは難しい。直交配置した透過光像からは何も現れなかった。一般に、直交時は、光を透過しないため何も現れない。これを加工処理すると、透過光が現われた。これは、第1偏光子で揃えられた偏光は、試料でその偏光の一部が解消し、その後の第2偏光子を通過する偏光成分が現われる。最後に、平行と直交像を画像演算処理し、異物のみの検出像を得た。検出像より、手袋片のみを判別し、その正確な位置を特定した。このように、適切な演算処理で光学的不均一な成分を取り除き、混入異物のみの抽出に成功した。

    図1 近赤外光と偏光による異物検知光学系

    図2 苺ジャムに混入した手袋片の検知