研究概要

食品乾燥操作を設計する -食品水分の状態を指標とした高品質で効率的な乾燥品設計-

  • テーマ

    加熱・乾燥

  • 研究機関名

    北海道立工業技術センター 研究開発部 応用技術支援グループ

  • 代表者

    小西靖之

  • 本研究の主旨


    1.乾燥工程中の食材内水分の評価
    食品の通風乾燥工程中には、乾燥の進行に伴い食品内の水分は「束縛の弱い」水分が先行し脱水し、その後「束縛の強い」水分が脱水する。食品乾燥は食品内の水分を除去することが主たる目的であり、食材内の水分の状態を把握することは、食品乾燥工程の設計にとって、極めて重要です。
    本取り組みでは、食品内の水分を水の束縛性や移動性を指標として2種の水分種(弱束縛水と強束縛水)に大別しました(図1)。この水分種の状態を指標に、食品乾燥設計を行い、乾燥の効率設計や品質設計を行いました。

    2.水産物乾燥の効率設計
    サケトバの乾燥工程は、商業的な工程でも約22~24時間を要する長時間工程でした。このため、毎日製造を行うためには2台の乾燥装置を用意し、1日ごとに稼働させる必要があり、大きな設備負担がありました。
    水分種状態を指標として、比較的品質に影響を与える「高乾燥速度」工程と品質影響が少ない「低乾燥速度」工程の切り替えタイミングを最適化することにより、従来と品質を変えず、乾燥時間の短縮化設計ができ(図2)、新たに1台の設備導入を行い効率的な製造設備の整備を行うことが可能となりました。
    乾燥工程中の水分種状態を把握することにより、乾燥時間の短縮化設計が出来きます。

    3.香味野菜の風味と製品色の高品質化
    長ネギ乾燥では、製品色を良好化する乾燥条件(低温乾燥)と風味を良好化する乾燥条件(高温乾燥)が異なります。乾燥品の製品色と風味を良好化した乾燥工程を、水分種を指標に高温工程と低温工程を組み合わせた操作設計を行い、最適な乾燥製品の製造を可能にしました(図3)。
    風味良好化のメカニズムを逐次反応モデルを用いたメイラード反応解析により評価しました。

    4.菌床乾燥シイタケの乾燥工程設計
    菌床しいたけは原木しいたけに比べ乾燥原料の水分が安定化しており、水分種に対応した乾燥設計を行うことにより、風味と製品色の制御が可能です。乾燥条件と「製品色」、旨み成分(グアニル酸とイノシン酸)の相関性を評価し、水分状態に対応して乾燥温湿度を制御する「3Step工程」、「2Step」工程を提案し(図4)、この水分種を指標としてた乾燥制御により、品質を制御したシイタケ乾燥品製造を実現しています。

    食品乾燥工程の操作設計には、乾燥する食品の水分がどの様な状態であるかが重要であり、この食品中水分を指標に乾燥設計を行うことにより、品質や効率を制御した食品乾燥が可能となります。