研究概要

X線画像によるアボカドの内部障害の自動判別手法の開発

  • テーマ

    検査システム(センサー、計測、分析、モニタリング含む)

  • 研究機関名

    北海道大学大学院農学研究院 食品加工工学研究室 

  • 代表者

    小山 健斗

  • 本研究の主旨


    1.背景:アボカド内部の腐敗は外見からは分からない
    消費者の健康志向の高まりにより,豊富な栄養素を含むアボカドの需要が世界各地で増加している。一方,アボカドは長期の輸送・貯蔵中に品質劣化を生じやすい。とりわけ,カビの感染により生じる茎端部の果肉腐敗(Fig. 1 A)は収穫量の約10%以上を占めることがあり,深刻なフードロスと経済的損失をもたらしている。低温での流通を経て日本に到着したアボカドは小売店への出荷直前に20〜30°Cで追熟され,手作業で傷や病気の検査が行われる。しかし,果肉腐敗などの果実内部の障害は外観に変化が現れにくく,人による判定が困難である。そこで,本研究では効果的な非破壊検査法の開発により,人の感覚に依存しない客観的な検査の実現を目指す。

    2.手法:X線画像から腐敗した箇所を抽出する検査モデルを開発
    本研究では,X線画像と画像処理を用いたアボカド茎端部の腐敗の自動検査モデルを開発した。異物検査等に用いられるX線画像には,果実内部の腐敗部の特徴(Fig. 1 B)が見られた。メキシコ産ハス種のアボカド422果を食べ頃まで追熟させ,X線画像の取得,腐敗の発生状況の調査を行った。次に,セグメンテーションによる病気の箇所の抽出(Fig. 2 A)および果実の輪郭形状の評価(Fig. 2 B)という2つの画像処理により,X線画像から腐敗の特徴を取り出した。そして,X線画像から抽出した2つの特徴を用いて,果実を2クラス(腐敗部が果肉全体の20%以上・未満)に分類するロジスティック回帰モデルを作成した。その結果、全体の分類精度は0.90、再現率は0.75であり,X線画像と画像処理を用いたアボカド茎端部の腐敗の検出が可能となった。

    3.今後の展開
    深層学習によりアボカドのX線画像を解析し,病気の箇所を抽出するモデルを開発中である。深層学習は人の感覚に近い柔軟な画像の解釈を特徴とする。これを活かし,アボカドの内部障害全般の検出が可能なモデルの開発を目指す。さらに,本モデルは手作業での検査が一般的な他の農作物(柑橘類,マンゴー等)への応用が期待される。
    また,X線画像からアボカド内部の被害を定量化することで,収穫後に進行する病気や貯蔵障害の経時的な追跡が可能となる。複数の保存条件下での品質劣化の速度を比較することで,アボカドの最適な保存法の解明を目指す。


    (6)資料図版・写真・グラフデータ
    Fig.1.gif,Fig.2.gifが図となります。図のタイトルは以下のとおりです。

    Fig. 1. 茎端部に腐敗の生じたアボカドの切断面(A)と赤破線部に腐敗の特徴が見られるX線画像(B)


    Fig. 2. X線画像から腐敗の特徴を取り出すための2つの画像処理:(A)セグメンテーション,(B)果実の輪郭形状の評価