研究概要

養鶏における人工知能(AI)を用いた生産管理による安全な食肉生産

  • テーマ

    特別テーマ DX技術

  • 研究機関名

    山形大学農学部 食料生命環境学科 生産機械研究室

  • 代表者

    片平光彦

  • 本研究の主旨

    鶏肉の消費量は近年増加傾向にあり、令和元年度の消費量が2,548千トンと対前年比1.7%の増加を示している。また、近年ではAnimal welfareの観点から家畜飼養時の快適性について配慮が求められていることから、飼養時の個体管理の重要性が増加している。飼養時の個体管理では飲水や飼料摂取、休息などの鶏の行動、温度状況などの環境情報を総合的に解析して評価することが求められる。これらの情報は観察や個別でのデータ収集に止まっていたが、各種センサから得られるビッグデータを活用した人工知能(AI)による解析が可能になっている。
    本報告では大規模飼養が進んできている養鶏での家畜飼養時の快適性に考慮し、安全で安心な食肉生産を実現することを目的に、鶏の生産管理で重要な生育期間中の体重管理と行動量の把握、特徴的な行動検出に人工知能(AI)を活用し、動画から得られる画像情報を基にした次世代型飼養管理システムを検討した。
    その結果、RFIDタグを使った個体管理では,RFIDタグ受信機能を内蔵した体重計を開発して体重変化を記録した。また,飼養ケージには天井にIP監視カメラを設置し,ニワトリの行動を24時間連続録画した。RFIDによる個体検出は,形状の大きいRFIDタグを床面に対して垂直に設置することで安定して電磁界を発生することが可能になり,個体IDの認識率が高まることを確認した。
    ディープラーニングによるニワトリの個体検出では,物体検出アルゴリズムYoloV4を用いた。実験は1個体の検出と複数個体での同時検出(3羽)の2段階で行い,パターンAとBの2試験区で作成したAIの適合率,再現率,DICE係数を評価した。AIを用いた1個体での検出実験では,適合率と再現率の調和平均であるDICE係数の平均値が,調査中期がパターンAで0.02~0.22,パターンBで0.51~0.89であった。認識した個体情報を基に算出した行動量は調査初期が59.9m,調査中期が78.9m,調査後期で24.1mであった。1個体でのAIの物体検出モデルは, 20 %以内の体重増加率を目処に,行動量を加味しながら定期的に容姿を再学習することで継続的に利用できることを確認した。